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あまねと会話したなかで分かったことは、とりあえず事件の記憶はないらしい。また、意識を取り戻した場所は知らないマンションで、出入りは自由にできたとのこと。 真っ先に思いついた場所がこの自宅というわけで帰ってきたようだ。 死んだ妻がある日突然、帰ってきたことについても驚愕するが、冷静に考えてもっとも恐ろしいことは未だ例の犯人が生きており、今もなおあまねや優に関与していることは間違いないという事実。。。。 犯人はなぜ今も関わってくるのだろうか? 彼女は本当に生前の彼女なのか? なぜ、彼女を再び現世に呼び戻したのか? 頭の中で様々な思惑を巡らすも、仕事をしながらのマルチタスクは優には堪えるようで、それ以上深く考えるのを諦め、仕事に集中した。 一方、あまねは優の出社後、自宅で家事を手際よくこなし休憩をしていた。その時、あまねの自分の時間軸にかなりの違和感を覚えた。 カレンダーを見ると失踪する前からすでに6年が経過していることに驚愕した。 (私、6年も何をしていたの……??) (昨日も優と会った時、今まで見たことのない顔をして私を見てた……。) あまねは、はっとして昨日、目を覚ましたマンションへと駆け出した。何が起きてそこにいたのか、何か手掛かりがあるかもしれないと思ったが、マンションはすでに鍵がかけられており、管理人が言うにはすでに空室となっていることだけ知らされた。 あまねは、頭の回転が相変わらず遅いことを悔やみながらうなだれ、とぼとぼと帰宅した。 すでに日が暮れていた。 帰宅後、ソファーで横になるとあまねはいつもより少し疲労感が強いことに気がついた。 「何年もたってるから体にガタがきてるのかなぁ。」 水を飲みながらゆったりして、落ち着いたころに電話が鳴った。 電話の子機がソファー横にあるため楽に取ることができた。 「はい。九条です。」 「……。」 夜の一人での無言電話に恐怖を感じたあまね。 すると、「……九条あまねさんですね?すみません。怖がらせてしまって。」 電話の声は中性的な声であるが、音声機器によって変えられていることは容易に分かった。 そして、電話の主が自分の名前を知っていることも。 (私のことを知っている人?) 電話の主は穏やかにゆっくりと話し始めた。 「よく聞いてください。あまねさん。その身体は本当のあなたのものではありません。」 (……えっ?) あまねは頭の中が真っ白になった。 「慣れない身体で疲れが出ているかと思いますのでゆっくり休んでください。」 「あと、今日は無駄足させてしまいましたが、あまねさんは何もしなくて大丈夫ですよ。」 大丈夫です、と電話の主は言って一方的に切れてしまった。 (私の身体……じゃない??) この時点ですでにあまねはかなり動揺していた。 何が大丈夫なのか分からず混乱しすぎて気が遠くなっていった。
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