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気がつくとすでに昼過ぎになっていた。
あまねはゆっくりとソファーから身体を起こす。
やはり疲れが溜まっていたのだ。
食卓に目をやるとラップされた朝食と優が書いたメモが置いてあった。
<起きたら朝食を食べるように。>
昨日の不安な気持ちの中、優からの優しいメモがあまねにはありがたかった。
ほっとして安堵の表情を浮かべる。
(そう。もとはこういう優しい人だった。)
食欲はあまりなかったが、気配りを無駄にしたくないと思い、朝食を摂った。
それから一週間が経った。
優もあまねもその後の進展は特になく、穏やかに過ごしていた。
優は一度あまねを亡くし、様々な葛藤、苦悩があった後での、ありえない再開のため、ぎこちなかったやりとりも徐々に昔の自然体のような感覚で過ごすようになった。
そして、――――ある休日の朝。
優が日課にしている新聞を取りに、ポストへ行くと、何も書いていない黒い封筒が入っていた。
嫌な予感がしたので、あまねには気づかれないように自室へ持っていった。
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