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優はいぶかしみながら黒い封筒の中身を開けた。
中には便箋一枚と一言添えられていただけだったが、優にとっては驚きを隠せないほどの衝撃を受けた。
【貴方にとって 九条あまねさんは どんな存在でしたか?】
ドクンと心臓の鼓動が一気に跳ね上がった。
かすかに震える手で口元をキツく押さえ、己の平常心を保とうとした。
脳内で様々な記憶が交錯する。
あまねの出会った日、付き合っていた頃、誕生日、喧嘩したこと、楽しかった日々。。。。。。
そして、最後に思い出すのはドロドロとした漆黒の闇の中での彼女の切ない顔――――。
それと同時に、犯人は「すべて」を知ったうえで僕にこのような挑発的な行為をしていることが理解できた。
優は部屋の壁に寄りかかり、ズルズルとしゃがみこんでしまった。
顔はがくりと真下にうなだれていた。
(……存在?)
(……もう思い出したくないんだよ。)
(……これ以上、僕のココロを抉らないでくれ……!)
優はゆっくりと深く深く真っ黒い闇の底に沈んでいった。
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