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6.真理、中学二年の冬(2)
時は遡る。中学二年の冬、真理は見知らぬ街の本屋にいた。突然名前を呼ばれ驚いて振り向く。
「お母さん?」
何とそこに立っていたのは保育園の時に別れて以来音信不通の母だった。母は娘をぎゅっと抱き締め涙を零す。
「ああ、真理ちゃん。探したの、探したのよ」
二人はハンバーガーショップに場所を変え互いに今までのことを話した。
「あの人、どんな手を使ったのかどうしてもあなた達の行方が掴めなくてね。母さんが真理を棄てるはずなんてないわ」
「うん、いつか迎えに来てくれるって信じてた」
娘は母に訴える。
「このままあそこにいたら高校にも行けず知らない男と無理矢理結婚させられちゃう。それならもういっそ死んじゃおうって思って……。気付いたら電車でこの街に来てたの」
「許せない。今日たまたま出会わなかったら真理がどうなっていたか」
母の手は小刻みに震えていた。
「でもこのままあなたを連れて逃げてもあの女が簡単に諦めるとは思えない。金に飽かせてどんな手を使ってくるか」
娘はため息をつく。
「最近心臓が悪いとか言ってるからいっそ死んじゃえばいいのに」
母はその言葉を聞き何やら思案している様子だったが、やがて娘を手招きしテーブル越しにひそひそと耳打ちする。
「わかった。うん、できるよ」
娘は大きく頷くと獰猛な様子でハンバーガーにがぶりと食らいついた。
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