1/3
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ

 いなくなればいいのに。あいつも、あいつも、あいつも。    「心配いらないよ。カミサマはちゃんと見ているよ」  カミサマなんかいるわけがない。うそばっかり。  「そうだね、カミサマはいないかもしれないね」  にっこり笑う口元。大きな三日月のような笑顔だ。笑み崩れた細い目。ありふれた顔立ち。  不思議な奴だと思う。不意に思う。ほんとうにこいつのことが好きなんだろうか。トモダチだと言っているけれど、心のどこかでは、いつもこいつのことをーー。  「カミサマはいないかもしれないけれど、かわりにアタシが、仕返しをしてあげる」    仕返し。どんな。  嫌なことをたくさんされてきた。恥ずかしい思いもたくさんしてきた。ちょっとやそっとのことでは追い付かない。  ちょっとケシゴムを隠すとか、上履きを捨てるとか、その程度の仕返しでは足りない。じゃあどんな仕返しなら気持ちがすっきりするのだろう。  そうだな、例えば。 **
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!