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俺の賭け……
それは娘の覚醒だ。
俺の一族は殺し屋の家系だ。
先祖代々から受け継がれた殺し屋の血筋……
俺の親父も祖父も曽祖父も殺し屋であり、裏社会にその名を轟かせた。
“オルトロス”と……
「娘は死んだが、奴に眠っている殺し屋の血が沸き上がり、生き返るかもしれない。そうなれば俺は娘を殺し屋として教育する。しかし、そうならなければ……賭けは負け。“オルトロス”は俺の代で終わりということだ」
元妻は慄然とした表情で俺の賭けを聞いていた。
恐怖で身体は怖ばってはいたが、微かに怒りを感じた。
「安心しろ。縛り付けた大樹にナイフを刺しておいた。最もそれをアイツが気が付けばの話だがな……」
「あんた……狂ってる」
元妻は声を押し殺しつつ、俺を睨みつけた。
「そんな男と結婚したのはどこのバカかな?」
俺は不敵な笑みを浮かべて見せた。
そんな時だ。
木々に止まってた鳥たちが一斉に飛び立った。
しかし山奥から誰も姿を現さなかった。
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