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「あのさ、速水。」 さっきの雰囲気と違い、真面目な顔になって真剣に俺を見つめてきた。 その視線でさえ、嬉しいと思いながら神崎を見つめかえした。 「‥‥‥、前にグラウンドで速水と話したとき、あっただろ?」 「うん‥」 神崎が、覚えててくれただけで幸せに感じながら返事を返す。 「あの時の言葉、本当に嬉しかったんだ。自主練してるだけで、先輩とかに陰口言われたりしてた。だから、凄く嬉しかった。ありがとう」 もう薄暗いから、よくわからないけど神崎の顔が真っ赤に見える。嘘だ。ただの錯覚、だよな‥ 「‥‥前々から、速水と話してみたかったけれど‥なかなか話しかけられなくて。朝、速水を見つけたときチャンスだ!って思ったんだ。思わず自主練してる理由言ったら、神崎なら出来る。って言われて‥‥凄く嬉しかったんだ。」 神崎はだんだん俯いてしまう。 ‥‥‥嘘だ。嘘嘘嘘嘘‥ 俺の錯覚だ。 何で、神崎は声が震えてるの? 簡単に期待してしまう俺が嫌だ。 「お礼‥言おうとすると避けられてたし、嫌われたかなって思ったけど今日は話してくれて、嬉しい‥‥。ありがとう」 神崎は、顔を上げながら笑っていた。 涙を目に溜めながら。 そんな神崎の腕を引いて、身長は高いけど細い神崎の身体を抱き締めた。
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