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「‥‥‥‥‥い。‥‥おき‥」 近くで声がする。 「‥‥速水、」 この声、聞いたことある声だ。俺が、ずっとずっと聞きたかった声だ。 「おいってば!速水風邪引くから起きろ!」 だんだん意識が覚醒していって目を開ければ、目の前にあいつの顔がものすごい近くにあった。 「あ、起きた。」 驚きながら咄嗟に下がった。 がたがたっ びっくりしながら、いきなりの事に頭がついていかない。 目の前に居たのは、俺が窓から見ていたあいつだった。 「‥‥‥神崎。」 「おう。部活終わって忘れ物取りに来たら、速水が寝てたからさ」 神崎は当たり障りもなく、にこにこしながら説明してくれた。 神崎優人。野球部の副部長で、野球を一番愛してるってわかる。 クラスでは誰にでも平等に接してくれてみんなに好かれている。 そして、俺が気になっている相手。 「‥起こしてくれてありがとー!つい寝ちゃったよ」 俺は何時も通りに返事を返す。もちろん、笑顔も忘れずにね!気づかれないように、みんなと接しているように話す。 俺と神崎は、全く違うから。同じところに居るのに、違う世界に居るようだ。神崎は悪い噂なんてない。むしろ好青年過ぎて憧れる人も少なくはない。俺はチャラ男って言われてるし、居ないのにセフレがいっぱいだと言う悪い噂ばっかり。 俺と関わらない方が良い。 俺と神崎は違い過ぎる。世界が違う。 「あ。そういえば速水って、よくグラウンド見てるよな!野球好きなのか?」 「‥え?」 何で知ってるんだ?ほとんど毎日のように見てたからいつバレたかなんてわからないけど。 「俺、視力良いんだよ。だから、練習中にこの教室見えるんだ。金髪で高身長って速水ぐらいだからわかったんだ」 「‥そうなんだ~。野球好きってバレちゃったな~」 教室から見てるのが俺だって気づいてたことだけで、内心すごく焦る。 変な期待してしまう‥
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