9人が本棚に入れています
本棚に追加
ゴロゴロと空が鳴り始め、あたりがいっそう暗くなり始めた時、ポツリと僕の額に雨粒が落ちた。
今いる神沙市は僕の生まれ故郷だ。中学に上がる直前に隣の未図市に引っ越してしまったので記憶も曖昧になってしまっていた。知っていることと言えば、人口は過疎傾向にあり、よく雨が降るので傘作りの町として知られている、ということだけだった。
そんな僕が、何故そんな所へ十数年ぶりに戻ってきたかと言うと、卒業論文の作成の為だ。僕は歴史研究のゼミに所属しており、将来的には大学院へ進み博物館で働く夢を持っている。必要な単位は卒論のみだ。
最初のコメントを投稿しよう!