魔女の血飛沫

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……… … 「カーミラ?そろそろ寝なさい?  夕方起きれなくなっちゃうわよ?」 「んんぅ」 朝6時。 寝ぼけ眼を擦りながら朧気に反応する。 「パパが帰ってくるまで起きてる…。  パパと一緒に朝ごはん食べたい」 「今日はパパ遅くなるって言ってたわよ?」 「んん、起きる…」 「もう…」 夜ご飯を食べた後、 パパが人里から持ってきてくれた クレヨンでパパの絵を描いた。 寝る前にどうしても見せたい。 すると… キィーン 超音波のような音が耳に届いた。 「あら?」 「あっ…!パパの声だ…!」 「あ、カーミラちょっと!」 この超音波(こえ)はパパの声だ! 私はクレヨンを放置したまま、 血でできた紅色の家から飛び出す。 パパとママが貴重な血を使って 建ててくれた大切なお家。 「パパ!」 外に出ると無数のコウモリの群れが 山の麓から飛んできているところだった。 紅黒いコウモリ。 コウモリたちの超音波がたくさん聞こえる。 やがて、そのコウモリたちは 家の前に集まり始め、人型を形成していく。 「おぉ…カーミラ、まだ起きてたのか?」 人型に成りきったコウモリたち。 私のパパが目の前に現れた。 「うん!パパおかえり!」 「あなた、おかえりなさい」 「ただいま」 私はパパの手を握りながら ぴょんぴょんと跳ねる。 私たちヴァンパイアは コウモリの群れとなって 空を移動することができる。 私はまだ子供でできないけれど… 「パパ!私今日ね、  鼠さんを捕まえて夜ご飯にしたの!  初めて自分の血を包丁に出来たよ!  あとクレヨンでパパの絵を描いて…  それからそれから…」 「あははっ、カーミラすごいな!  朝ご飯を食べながらゆっくり聞かせてくれ」 パパに抱き上げられながら 血でできた家に入る。 「えへへ…うん!」 パパの大きな手は少し心地よかった。
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