25人が本棚に入れています
本棚に追加
元帝国軍将軍の一族・レンの場合
海岸沿いから見える海は今日も穏やかだった。水平線が遥か遠くに見えた。
今日も僕らを迎えに来る船はやってこない。
新大陸発見を目指し旅に出てから三日目の夜、僕たちは嵐に見舞われた。岩との衝突で船底をやられた船を破棄せざるをえず、僕たちはいくつかの救命艇に分かれ、そして命からがらこの島に流された。
あれから一週間、僕たちは名も知らない島で救助を待っている。
幸いなことに救助艇に積まれていた物資や工具などもあったし、海岸に流れ着いたモノなどあったおかげで、原始時代のような生活とはならなかった。
しかし、各々が勝手なことをしていては生き抜くことはできない。僅かなメンバーとはいえ、僭越ながら僕がリーダーとして、この共同生活を送っている。
かつて僕の一族はアークブレッド帝国軍の将軍を担っていた。
しかし、祖父が大戦での敗北による責任を取ってから没落し、孫である僕こそが一族を復興したいと思っている。新大陸発見の選抜隊に志願したのもその理由からだ。まさか早々と船を失ってしまうとは思っていなかったが。
一日も早くこの島を脱出し、偉大なるアークブレッド帝国に帰還したい、僕はその日まで皆の命を守る必要がある。
最初のコメントを投稿しよう!