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「レン、交代の時間だよ」
背後からの声に振り向くと大柄のヒイロが立っていた。元々、色黒の男だったがこの島に来てからより日に焼けて黒くなったような気がする。
「ああ、ありがとう。もうそんな時間か」
「ユーリがメシ作ってくれてるよ。今日の魚はうまいよ」
「ヒイロが釣ってくれたんだね、ありがとう」
僕はヒイロに笑顔を向け、彼の逞しい左肩を軽く叩き「じゃあ頼むね」と告げた。
彼と見張りを交代し、僕は森へと足を進めた。鬱蒼と茂る森の少し奥にベースキャンプを作っている。
ベースキャンプとしている森の奥地へ僕は歩いた。賑やかしい声が向こうから聞こえた。
漂着した当初は沈んでいたメンバーたちが明るく前向きでいてくれるなら幸いだ。ただし、この島でただ生き残っていても仕方がない。
僕は腰に携えた剣に刻まれた帝国の紋章を見た。「必ず祖国へ帰る」その希望だけは捨ててはならない。いま一度、僕は紋章に誓った。
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