アデルの歴史

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アデルの歴史

 図書室に通い出して3日。黒髪に関しての書物は少なくて良かったわ。じっとしてるの苦手なのよ。おかげでたくさんの情報を得ることができた。    体内で魔力が無尽蔵に生成され、定期的に魔力を使わなければ暴走してしまう。 一般の黒髪の方々は魔力で動く物に注ぐそうで、王都で見た夜に勝手につく街灯などがそうみたい。 それでお金を得て一人暮らしをしてこれたのね。だけど、皆んな寂しそうな顔をしていた。独りは寂しいよね…  そして歴史にも黒髪が出てくる。 昔のアデル国は今より小さくて、他の国からよく襲撃を受けていた。 困ったアデルの国王は、山脈を隔てた大国ヤマトに助けを求める。 土壌が豊かなアデルの地で育つ大豆を、特別な代金で売るとの交渉にヤマトの国は答えてくれた。 ヤマトの国から派遣される忍が国に来てからは、襲撃にも事前に準備ができてなんとか凌げるようになった頃、ヤマトの国が同盟をした4つの国に滅ぼされる。  その時実力のある忍が、アデルにいたからだと伝わっていた。 後に復讐に燃えた忍と、恩を感じているアデルの騎士達で4つの国を倒した。 これが今のアデル国だと書いてある。その4つの国の一つに、黒髪の民がいた。 ミデル国といい、国民全員が魔法が使える魔法国家だった。 何度もミデルの民が、国を取り戻そうとアデルを襲撃するも、アデルに残った忍によって鎮圧された。 ミデル…ミデル様と名前が似てる…考えすぎかな。  ハットリやヤスケ、実家の忍たちはその生き残りの子孫だったのね。 本のページに小さなメモを見つけて、書いてあったのが「クサカベ」の文字。 ヤマトの国の忍は「ハットリ」と「クサカベ」という2派があって、互いに鎬を削り合っていたと書かれている。メモの端っこに「クサカベに気をつけろ!」とも。  私にはなんのことかは分からなかったけど、記憶に残しておく。ハットリ爺はもうコーデルの身内だもの。ずっと穏やかに暮らしてほしい。メモを小さく折って、髪の毛に差した。実家でやったら怒られちゃうけどね。ヤスケに聞いてみようと思ったの。  もう一冊は…やだ、もうこんな時間。ささっと片付けてから急いで自室に戻った。
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