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兄上
「どう思う?」
質問を投げたのは、コーデル伯爵家長兄のアーウィン・コーデル・ルーカス。
「怪しいな。辺境伯の娘を王宮に入れるなんて、俺なら絶対しない」
応えたのは次兄ダンテ・コーデル・ルーカス。
「案外、単純な理由かもしれないよ?」
妹が乗った馬車を愛おしそうに見つめる3男カーウィル・コーデル・ケインは、含み笑いをして兄達を見上げる。
「何か知ってるのか?」
「教えないよ、絶対言わない。ウィスに絶交されちゃうからね」
にっこりする3男。胡乱な顔で見つめる息子2人をまたも苦悶の顔で睨む父親。
「マジで事件だけは起こしてくれるなよ?」
「…王太子いや、王宮の出方次第だ」
「ウィスに何かしたら…国ごと潰す」
「あはは、面白くなってきたね」
「はぁ〜〜」
大きなため息をついて屋敷へ帰る。
雲ひとつない青空に、足を止めたカーウィルが笑顔のままに呟く。
「無事に帰って来なきゃ、兄上達が何するか分かんないよ。ウィス。」
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