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珊瑚
「ひっろ!!」
応接室には高そうなソファセット、執務室が別部屋になっていて、一体何人が寝るのって言うぐらい大きなベットがある寝室。浴室と洗面所まで。私の部屋なんてこの半分ぐらいよ。さすが王宮の一室。叫んじゃうのもしょうがない事よね。
「ご到着直後ですから、少しお休みになられてからご夕食をお持ちいたします」
「ありがとう、ミリア」
恭しく下がるミリア。パタンとドアが閉まる。
…女性騎士よね、あなた。体の捌き方が違う、体幹のしっかりした動きだったわ。ふふふ、面白いのね王宮って!
「さて、あなたが私の護衛を任されちゃった忍かしら?」
「!!」
ぐるっと振り向いた私は、気配を消して後ろにいた忍に話しかける。驚いて後ろに飛び退いた。
「気配が消せるからって、気を抜いてはダメよ?ふふ」
驚愕の目を向ける。そうよね、忍に話しかける令嬢なんていないし。
いくつか質問したけど答えない。しつこく名前を聞くと、
「…三の五番」
渋々名乗った。やっぱり番号で呼ばれていたわ。嫌いなのよね、番号で呼ぶの。実家の忍たちは全て、お花の名前で呼ぶようにしたのよ。師匠のハットリ爺にも了解を貰ったし。
「急に名前を変えられても反応できないから…忍の言葉で「珊瑚」はどう?コーラルのことよ。三の五番だし、音が似ていていいでしょう?」
「……」
さてさて、どう上司に報告するのかしら。楽しみだわ。
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