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「か、帰ります」 「帰る家があるんですか?」 「この街から出ていくから関らないでください」 こんな所にいてはダメだ、一刻も早く東地区から出ないと。 「出しませんよ」 「は、はぁ?」 「事情があるようですし、それを吐いてもらうまでは」 出さないだなんて、何をバカげたことを。信じらんない。 「…っ、せっかく逃げてきたのに」 「逃げてきた?」 しまった、思わず口に出してしまった。 焦る気持ちと引きつったままの顔を上げると、さらに逃がす気がない表情を見せてきたインテリ男。 しつこい男は嫌われるよ、なんて言っても笑ってかわされそうだ。 なら、こうするしかない。 「警察呼びますよ…っ」 スマホを取り出すと驚いた顔をし、眉を八の字にして下げると「酷いなぁ」と言いながら近づいてきた。 本気にしてもらえてない、舐められてる。 ヤバイ…と頭に危険信号が鳴り響き、110番を押して発信ボタンを押そうとしたら___スマホを奪われ、首の後ろを突かれて膝から崩れ落ちた。 クマみたいな男の腕に抱きとめられ、意識を失う寸前インテリ男が誰かに電話してるのが微かに見え、 「おもろい女拾たで」 そう伝えているのが聞こえた。 ________… 「…ん」 どれくらい意識を失っていたのか、目を覚ますとそこは知らない場所で腰の痛くならない寝心地のいいソファーの上に眠っていた。 あれ、ここはどこ? 誰かの家…リビングらしいけどこんな家は知らない。 「っ…いたた」 気を失わせるために殴られた首の後ろが少し痛み、手で擦るも痛みが消えるわけなく今すぐ湿布が欲しい。 女の子にあんな乱暴をするなんて最低だ。 「って…それよりこれ凄くまずいんじゃ」 2ヶ月後にさらわれるはずが今日攫われるなんて聞いてない、話しが違う。 私の死亡フラグが…よりによって今立ちまくっているなんて。 「どうしよう、ここから逃げなきゃ」 腰を上げた時、ドアの向こうから声が聞こえた。 体が固まり動けないでいると、部屋に入ってきたのは3人の男。 そのうち2人は公園であった男で、もう1人は端整な顔立ちに高い身長、シルバーアッシュのショートヘア、気だるそうな雰囲気を醸し出している。 「起きたか。座れ」 シルバーアッシュの男は私の隣に座り、指示通り大人しく座ると鋭い目付きでじっと見つめてきた。 「なんであそこにいた」 何を言われるかと思えば、インテリ男と問うてきたことと同じような内容。 言う気はないと口を噤んでいれば、 「吐け。吐かないと部屋から出さねぇぞ」 あろうことか脅してきた。 最低だ、なんて冷酷な男なんだ。 「どっから来た。言え」 「……」 絶対に言ってやらない、そう心に決めた時。 「犯すぞ」 さらにとんでもない脅しをかけてきた。 部屋から出さないの次は犯すって、目が本気じゃん。 どうしてそこまでするの!? 「わ、分かった…話します」 話さなければ乱暴される、話しても何かされるかもしれない…だけど、話す選択肢しか私にはなかった。
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