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うっすら目を開ければ俺の家のベッドの上で、手を見れば包帯が巻かれている。起き上がって服を見れば着替えさせられていて、立ち上がれば腰に痛みが走り膝から崩れ落ちてしまいその音を聞いて足音が近づいてきた。
「智恵…無理はするな」
シルバトレーにお粥と白湯を運んできた乃蒼がシルバトレーをベッドサイドテーブルに置き、除菌スプレーをしてから俺を抱き上げてベッドに座らせてくれた。
頭を撫でられて、涙が出そうになった。顔も見たくないと言った俺を未だに心配そうに見てくれる…なんでだろう…胸が…ドキドキしてきている。
「その…優樹は?」
「あの馬鹿はリビングで反省させてる」
あの馬鹿がかなり強調されていたが、とりあえずここに居るんだな。スプーンにお粥を掬って目の前に出してくる。自分で息を吹きかけて冷まして、ゆっくり口に含む。
美味しいけど、飲み込むのが苦痛で仕方ない。なんというか、のどが痛くてたまらない。湯呑みに入れられている白湯をゆっくり飲んでゆく。
「乃蒼…優樹呼んできてくれないか?」
「会えるのか?」
「ん…乃蒼も居てくれるんだろう?」
俺が見つめれば手を軽く握られる。どうやら俺は震えていたようで、微笑んでから乃蒼は優樹を呼びに向かった。
戻ってきた優樹には頬に痣があり、申し訳無さそうにしゅんとしているあたり乃蒼が殴ったのだろうな。俺は深呼吸をして俺の前に立つ乃蒼の正座をする優樹を見つめた。
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