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「良いよ。別に。」
(うっ…怖い…。)
「…すみません。」
「ったく…。」
あーあ。
今日は踏んだり蹴ったりだ。
お酒でやらかして初対面の人に迷惑かけるなんて…。
「何で呑めないならあんな強い酒頼んだわけ?」
「だって…。」
「…何?」
「酔ったら忘れられると思ったの!」
全部…全部忘れられると思った。
「あたしだってどうしたらいいか分からないわよ!
同棲している家で、まさか彼の浮気現場見るなんて思わなかったのに
しかもそのあげく彼氏には
彼氏でいる自信無くなったとか言われるし!
彼も家も失った今!
どうしたらいいのよ…!」
ああ、もう完全に八つ当たりだ。
何でもいい。
何でもいいから忘れたかった。
でもそんなに簡単に忘れられる訳ない。
だって大好きだった。
あたしにとって将人はかけがえのない
大切な大切な人だった。
「…痛!」
そうこうしてるうちに大声を出してしまったからか、頭が痛くなってきた。
気分も悪くなってきた。
(う…。気持ち悪い…。)
その時、スーツ野郎が口を開いた。
「…じゃあ、忘れたら?」
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