第2話 飲み怪

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「おい、弘部(ひろべ)ー!言うなよ」 営業チームの中で一番年下の弘部君がうまくフォローする。 誘われた覚えはないけど、まあ、いいやと思いながら席に着いた。 「渓内さんはいつも仕事が終わるとさっさと帰るから、てっきり決まった相手がいると思ってたなあ」 「そうそう。気づいたら『いない!?』ってなるんだよな」 それは遅くなる前に帰らないと逢生から電話がかかってくるから。 でないで放置しておくとうちの家族に電話するからね? あんたは私のお父さんかってのよ! とはいえ、逢生の生存確認のためでもあるからしかたない。 留学先でホームシックになった時、食事が食べられなくなったことがあり、留学先まで行くことになった。 私の有給休暇よ、さようならってなったからね。 逢生の両親は二人とも医者で息子は放置。 五体満足なら自分のことは自分でやれのスタイルを貫かれている。 なかなかサバイバルな親なのだ。 「忙しくて、すみません」 そんなこっちの事情は話せない。 また『奏花ちゃんの彼氏って―――以下同文』ってなるのは目に見えている。 一番無難な答えを返しておいた。
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