第2話 飲み怪

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彼氏を作る―――それは私の念願でもあったわけよ。 幼い時から金魚のフンのように逢生(あお)につきまとわれ、『奏花(そよか)ちゃんの彼氏って逢生君だよね』と勘違いされる日々。 気がつくと逢生が常に私の彼氏ポジション。 公認の仲にしないで欲しいわ。 しかも逢生はモテるらしく、『逢生君の彼女がどんな人なのか見に来ました』なんて子もいた。 「どこがいいんだろ……」 あんな省エネモード全開のいつも気だるげなかんじの男なのに。 地球には優しいかもしれないけど、世の中のイケメン基準が不思議すぎる。 その謎は今日も解読不能のままだった。 仕事を終わらせて、飲み会があるイタリアンレストランへと向かった。 調べたところワインバーがあるらしく、それも楽しみだった。 店内は赤茶色のレンガの壁面、高い天井にはバブルシャンデリアが吊るされて椅子は一人がけのソファー席。 ゆったり座れるようになっている。 うわー、おしゃれー! こんなとこ一人じゃ絶対にこれない。 きょろきょろとしていると寿実(すずみ)が手を振っているのが見える。 相手側のイベント会社の営業の人達は何人かは顔見知りだった。
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