16 relation

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 たぶん、私は眉根を寄せたんだと思う。 「そんな顔するな。俺、栞のその顔見るとほんとに辛くなる」 「なんで…困るの?」 「引くなよ?⎯⎯栞の指、気持ちよすぎ」  一瞬顔から火を噴いたかと思うくらい、熱くなった。慣用句は素晴らしい。言い得ている。また変なことを考えて、私は居たたまれなさを誤魔化そうとしてしまう。 「…嫌だったの?」 「嫌じゃないから、困ってる」 「ね、五日間の設定、教えてくれる?」 「…今?この状態で?」 「じゃ、背中合わせで座る?」 「それなら、何とか言えそう」  背凭れに右腕をおいて座る陽平の背中に、少し寄りかかるみたいに座った。私のピアノの椅子に背凭れはない。 「一日目は、裸で見つめあって話すだけ。二日目は、軽いキスと軽く触れるのはOK。でも、下着で隠すような箇所は触れない。3日目は深いキスもOK。でも、触れて良い箇所は同じ。四日目は、少し範囲を広げて、五日目で解禁」 「…そう、なんだ」  少し範囲を広げてって、うっかり聞き流したけど具体的に考えると大変。でも、きっと大丈夫。“いつか“なんて、そう遠い未来ではないんだ。 「だから、一日目は今日、…無理」 「触っちゃった」 「別に栞は悪くないよ。ただ、俺が無理。我慢できなくなりそう」 「じゃ、今日は予行練習にしない?」 「え?」 「そしたら、来週二人とも戸惑わないよ」 「予行練習?」 「一日目から少し先までの」 「栞…?」  私もたぶん真っ赤だ。かなり勇気を出して伝えた。これで受け入れられなかったら、私はどうしたら良いんだろう? 「俺、栞に無理させてない?」  私は首を振った。背中合わせで伝わったかな? 「俺、駄々こねてこの部屋に入れさせてもらったのに?」 「今、駄々こねてるのは私だけど?」  陽平が動く気配がした、と思った瞬間抱きすくめられた。 「駄目だ。俺、もう我慢の限界。栞に…触れたい」  また、その腕に手を重ねたけれど、さっきとは違う。
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