17 relation Ⅱ

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 情けないけれど、へこんだ。  誰だ?片想いは辛いって言ったの。  お互い思ってるはずなのに、ちっとも楽にならない。安心できない。  あー、そっか。そういえばそんな和歌が百人一首にあった。 “あひみての 後の心にくらぶれば 昔はものを 思はざりけり“ 『恋しい人と契りを結んでから後の、恋しい気持ちに比べたら、昔の想いなど無いに等しいほどのものだった』  そんな意味だったはず。  なんだよ。昔の男もそうだったか。でも、この作者は契りを結んだっていう、俺と決定的な違いがあるけど。  色々考え事をしてたら、栞に促され部屋に入れてもらうことになった。いじけて駄々をこねて思いを通したみたいで、それもまた情けない。  自分でも、なんだかよくわからなくなってきた。  ただ、今日栞にどうこうする気はなかったのは確かだ。  それなのに、栞から俺に触れてくれた。 「ずっと近付きたかった」  そう言ってくれた。  俺には栞のそんな気持ちはわからなかったし、想像もつかなかった。  でも、やはり緩んだ顔になってしまう。こんな顔は見せたくない。座ったまま、俺の足の間に立つ栞を抱き締めた。  心地よく、栞の心音が耳に響く。    この日、初めて栞の素肌に触れた。  栞も、俺の肌に触れてくれた。  二人の間で、何かが変わった。  世界には、俺がまだ知らないことがたくさんある。  これ以上ないと思っていた愛しさも、もっと深くて、広い気がした。  今日は覗き見ただけ。  肌の柔らかさと白さと香りに、何度か我を忘れそうになった。恍惚とした表情の中に、栞の恐れを感じて俺は平静を取り戻すことの繰り返し。  お互いに腕や背中や、胸に触れただけなんだけど。肌を合わせた時の安心感に、涙が出そうなったことは誰にも言えない。  栞が触れる指に、心地よさと知らなかった快感、そしてどうにかなってしまいそうな恐れを感じた。  だから、今日はここまで。  上気した頬も潤んだ目も広がる髪も、俺をどうにかしてしまいそうだったけど、ちゃんと堪えられた。  
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