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その日の帰り、栞を家に送ってから自転車で高校と反対側の駅まで自転車で出かけた。絶対、人に知られたくない買い物をするために。ドラッグストア?それともコンビニ?
店を覗いてみたらコンビニの店員が高校生に見えたから、おじちゃんの店員のドラッグストアにした。
これで、OK。そう遠くない“いつか“のための準備完了。
一旦家に帰って、ちゃんとしまってから塾へ向かった。
翌日は午前中の部活が終わったら、一旦帰宅して昼飯とシャワーを済ませて図書館で勉強して待機。昨日の買い物は、一つだけ持つことにした。ペンケース?ポケット?悩んだ結果財布に入れた。多くの男子がここにしまうわけだ。人目につかず、コンパクト。
栞は、学校帰りに制服のまま図書館に現れた。本当に偶然、閲覧室に入ってきたばかりの栞を見つけた。俺を探している栞と目が合うと、すぐに笑顔を浮かべて俺の所にやってきた。
「栞も勉強する?」
「陽平の進み具合は?」
「いつでも止められるし、やれと言われたらまだできる」
「じゃあ、1時間くらい良い?課題を終わらせてしまいたいの」
「OK。ご飯は?」
「友達と向こうで食べてきたから大丈夫」
女子校だから何の問題もなし。すぐに集中する栞に見とれかけて、俺も数学に取り組む。栞は教えるのもうまいから、苦手な数ⅡBがだいぶできるようになってきた。お礼に英語ならなんとか手伝えるかな。
ふー。吐息を付いた音が聞こえたら、既に2時半だった。
「ごめん。結構手こずったかも」
「いいよ。俺もはかどったから」
なんとなく、やりとりにぎこちなさを感じてしまう。やっぱり「3日目」を意識してしまうから。
「陽平、ちょっといい?」
何か話したいことがあるんだろうか?
俺の勉強道具はそのままで、栞はさっと自分の荷物をまとめて席を立った。
やっぱりやめようとか、出来ない事情が出来たとかそういうことか?なんて考えながらホールに向かった。
「あのね。先に私帰っていて良いかな?30分、ううん。20分でもいい。後から来てくれる?着替えもしたいし」
なんだ。そういうことなら、全然いいや。
「分かった。俺自転車で行くから、30分後にここを出るよ。それでいいか?」
「うん。ありがと。じゃ、私先に帰る。着いたらLINEして」
ホントに落ち着かなくてそわそわしてる俺は、勉強を諦めて雑誌コーナーであれこれ目を通した。3時ジャストに図書館を出て栞の家に向かった。
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