17 relation Ⅱ

13/22
前へ
/196ページ
次へ
 少し苦労しながらデニムを脱いだ。本当に栞は大丈夫かな?  覆い被さり、足が触れ合うとまた腰の辺りがうずく。 「そっか。…こういうことか」  栞が目を伏せたまま呟いた。離れようとすると、栞の手が俺の腰に触れた。 「離れないで。父が以前言ってたの。“想像と現実はいつだって違う”って。それなら私、本当のことを知りたい。陽平のことなら、もっと知りたい」 「栞」  何も言葉にできなくて、ただ名前を呼んで触れ続けた。栞は時折息を漏らして、それを隠すことをしなかった。栞が触れる指に、俺も息を漏らした。そうやって、決めた時間まで触れ合った。 「明日また、…来て良い?」  栞は頷いた。   「だから、聞かないでってば」  栞が赤い顔で俺を睨んだ。かわいいだけだけど。 「栞もそう思ってるってちゃんと確かめたいんだけどな」 「わかった。じゃあ私から言う。明日も来て。明後日も。その後だって都合が合うなら会いたい。明日から、私は家で待ってる。着いたらLINEする。OK?」 「OK」  一気に言った後、枕に顔を埋めた栞の耳は真っ赤だ。本当に、思わずという感じで、唇で耳を挟み、その熱さを抑えるみたいに舌でなぞった。  俺が今まで聞いたこともないような官能的な声を洩らした栞が、俺を振り返った。たぶん、少しの間見つめ合ったんだと思う。 「・・・やだっ」  栞はまた枕に顔を埋めた。仕方ないから、剥き出しの背中に耳を付けた。煩いくらいの鼓動の音は栞だけじゃない。 「こんな声、他の誰にも聞かせたくない。こんな姿も俺以外の誰にも見せなきゃ良い。早く、俺のものになって」 「嫌じゃないの?」 「何が?」 「いやらしくない?私」 「栞がいやらしいって何それ?」 「だって、わからないんだもの」 「俺だって知らない。それに、俺、栞以外知らなくて良いから」  栞が体を動かしたから、そっと隣に寝転がった。栞が上から俺を覗き込む。 「いいの?それで」 「それがいいの。栞は先のことは分からないって言うけど、俺はもう決まってる気がする。栞が変わるなら、仕方ないけど・・・」  言いかけた言葉を栞が唇で塞いだ。栞から初めて唇を重ねてくれた。 「次、そんなこと言ったら許さないから」 「どれのこと?」 「私の気持ちが変わるみたいな・・・」  今度は俺の番。右手で栞の頭を引き寄せて唇を重ねた。  離れがたい。  明日も明後日も、待ち遠しい。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

275人が本棚に入れています
本棚に追加