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「栞に会えて嬉しいけど苦しい。苦しいけど会えて嬉しい」
「苦しい?」
「うん。俺、男だったんだなってここ数日思うんだ。早くって思う。こんなこと思ったことなかったのに」
栞が俺にしがみついた。
「私もそうだよ。夏休みが終わって、また会えなくなったら、どうしたら良いんだろうって思う」
栞に口付けた。昨日は堪えた深いキス。誘うように動かすと、栞が恐る恐る応えてくれた。肩を抱こうとして素肌に触れたら、抑えが効かなくなった。首筋や昨日知った栞が弱い耳元に、唇を這わせながらブラウスのポタンに手をかけた。ベッドに寝かせてあげたら良いんだろうけど、今はそれができない。
ブラウスを肩から抜き、床に落とす。キャミソールも同様。栞は全く抵抗せず、俺に体を委ねていた。
「陽平…ごめん。立ってるの…もう無理」
上気した顔の栞を見て、手を引いてベッドに座らせた。ワイドパンツに手を掛けると、栞が少し腰を浮かせた。下着姿になった栞をベッドに横たえさせた。
「よく調べたら、初心者にはあまり向かない方法って書いてたんだ」
「えっ?」
重たげに目蓋を上げた栞が言った。
「理由が分からなかったから、最初は平気だと思ったけど今なんとなくわかった」
「…どうして?」
俺が触れる手を止めないから、栞はまた目を閉じた。その表情だけで、堪らない気持ちになる。
「先がわからないから、我慢が辛い」
「…うん」
「…栞も?」
栞が俺に腕を絡めた。
「今日が待ち遠しいって思ったよ?緊張はするけど、怖いかもって思うけど。明日も、もう待ち遠しいくらい」
はー、と俺はため息をついた。
「四日目は、深いキスもOK。触れていい場所は昨日までと同じ。でも、明日に備えて、俺らまだしてないことをしよう」
「何?」
「一日目からすることだったんだけどさ。衣服を身に付けないことと、相手のことや自分の気持ちや感じたことを言葉にするんだ」
「……自分の気持ちや感じたこと?」
「そう。栞が好きだ。とか、肌がすべすべで気持ちいいなとか」
「…恥ずかしくない?」
「恥ずかしいけど、儀式だからいいや。この時間だけ素直になるのもいいかな」
「わかった」
上から見下ろした栞の表情が、少し変わった。
「…脱がすよ」
「だから、恥ずかしいの」
「脱がされるのと色々口にするのとどっちが恥ずかしい?」
栞が悩んでいる間に脱がせて、自分の下着も脱いだ。
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