17 relation Ⅱ

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「わわわっ…」  マンガみたいな声を出した栞に、思わず吹き出した。 「どっちに戸惑ったの?」 「…両方」  身じろぎした栞の体が触れて、俺は思わず息を漏らした。栞の肌に触れるだけでこうなるなら、明日俺はどうなるんだろ? 「触れるだけで…気持ち良かった」 「…大変だ、ね?」 「他人事みたいに言うな」  俺は栞の耳をがぶっと噛った。  栞がまた声を漏らす。恥ずかしがりながらも、栞は懸命に言葉を継いだ。 「・・・違うの。辛いんじゃないかなって思っただけだよ?」 「たぶん、栞は痛い思いするんだよ?それ考えたら、全然平気。でも、栞が痛がったら俺、何にも出来ない気がする」 「わからないね。何にも」  なぜか楽しそうに栞が言う。 「どうした?」 「初めてが、陽平で良かった」 「ほっぺのキスは、俺が最初じゃない」  思わず口にしてしまった。はっと息を飲む栞。 「ごめん。栞が悪い訳じゃないのに」  俺は何度も頬に唇で触れた。 「過去は消せないから仕方ない。代わりに今から身体中キスしようかな」  肩や鎖骨に口付けたら、栞が体をビクッと跳ねさせた。腕に唇で触れ始めたら、栞が慌てたように目を開けた。 「まさか、本気?」 「本気だけど、ダメ?」 「全部?」 「うん」 「そんなことしなくたって、私はもう…陽平しか見てないよ?」  栞の言葉が、俺を落ち着かせてくれた。 「じゃあ、焦らなくて良いんだ?」 「そうだよ」  栞がまた、俺の髪に触れた。優しく頬や耳に指で触れてくれた。 「栞が素直だと更にかわいい。やば」 「普段は可愛くないみたい」 「普段は、かっこいい感じかな?」 「女子に“かっこいい”って言う?」 「“男前”って言うのやめたのに」  ふふっと栞は笑った。 「陽平がわかってくれてるなら、それで良いんだ」 「あ、今一番辛い」 「え?」 「今、繋がりたいって思った。気持ちが通じたから、体も。って」  栞が目を潤ませた。 「そんな風に思ってくれるなら、たぶん明日も大丈夫」    俺たちはまたしばらく触れあった。  「繋がりたいって理由、他に何がある?」 「女子高の周りに、時々いるの。卑猥なこと叫ぶ人とか、つきまとう人とか」 「最低だな。ほんと、栞、気を付けて?」  栞の頬を撫でた。悪い男が近付きませんように。でも、釘も刺しておこう。 「そんな奴と俺を一緒にしたら怒るからな」 「全然違うよ?分かってるからね」 「良かった。・・・明日だね」 「そうだよ」 「やっとだ」 「そうなの?」 「そうなりたいって思ってた。ずっと」 「もし、うまくいかなかったら?」 「お互い初めてだから、そんなこともあるかもしれない」 「怒らない?」 「何を怒るの?」 「わかんない」  ふふっと栞は笑った。 「ありがと。大事にしてくれて」
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