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「なあ、何があったの?」
「…おかしくなったの」
「何が?」
「体が…変なの」
どういうことだ?
「いつから?」
「陽平に触れられてから、時々。でも、昨日からもうなんか、大変で」
「どんな風に?」
「そんなの…言えないっ」
もしかして、一昨日の俺と同じ?男は単純だし、スッキリする手段があるけどな。
「栞、それたぶん、治してあげられるの俺なんじゃないの?」
「それだと…体だけみたいじゃない?」
それが理由で苦しんでたのか?
「気付けば陽平のことを考えてる。それは良いの。前もそうだったから。でも、この何日かは違って…」
俺だって同じだ。
「体もなんか、そんなときおかしくって…」
それは、おかしいのかな?
「そんなの知られたら…こんないやらしい私のこと、陽平は嫌でしょう?」
「いやらしいと思わないんだけど。全然」
栞に近づいて、抱き締めた。
「たぶん、栞を楽にさせてあげるのは俺だけだから。触れるよ。言ったじゃん。初心者にはあまり向かない方法って。わからないから、戸惑うだけだ。おかしくないし、俺はそんな栞を嫌だと思わない」
栞の目は真っ赤だった。たぶん泣いただけじゃなくて、眠れなかったんだろう。
少し熱をもったまぶたに口づけた。今日の栞は少しだけ幼く見える。
唇に長く触れた。触れた栞の身体が熱い。すぐに、短く浅い呼吸になる栞に感じたのは、苦しいくらいの愛しさだった。
「栞、脱いで。俺にはこれ、無理」
ファスナーや腰ひもがついたワンピースは、上手に脱がせる自信がなかった。
後ろのファスナーに手をかける栞に気づいて、手伝おうとすると栞が呟いた。
「…カーテン閉めるの忘れてた」
俺が立ち上がってカーテンを閉めている間に、栞は衣服を脱いで、タオルケットにくるまっていた。俺も色々準備をした。今日は箱ごと持ってきてある。
昨日よりも、緊張も栞を求める気持ちも段違いに強い。
「怖かったり、痛かったりしたら言って」
「大丈夫」
「体は平気?」
「平気じゃないけど、理由がわかったから、良いの。陽平に触れて欲しかった。早く、陽平のものになりたい」
「素直になれたの?」
「陽平の声と温かさを感じたから、落ち着いたみたい。もう、どうしよう。すごく、好き。陽平が好き」
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