17 relation Ⅱ

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 答えようとしたけど、答えたかったけど、触れたい気持ちの方が勝ってしまった。  噛むみたいに唇に触れて、慌てて優しく触れた。満足するまで触れてから伝えた。 「栞が好きだ。ずっと、変わらない。自信があるっていうより、確信してる」  栞は泣きそうな顔で笑った。   「まだ、私たち16だけど、出会っちゃったんだね?」 「12歳の時にね?」 「前に陽平が言ってたじゃない?そうあるべき方向に、物事は流れていくってこと?」 「うーん。ちょっと違う。人の思いは強いよ。すごく」   「そう思う?」 「うん」 「じゃあ、私、精一杯頑張る。陽平の隣にいられるように」 「それは、俺が言いたいことだ」  俺は、上から栞を見下ろした。伏せていた目を、俺に合わせた栞が言った。 「陽平が好き。伝えられて良かった」 「今さら?」 「言えないと思ってた。叶うなんて、思いもしなかったの。陽平、大好き」  俺、どうしたら良いんだろう? 「素直になったの?」 「そういう儀式じゃ…なかったの?」 「そうだった。自分で言ったのに、栞が言ってくれることに、舞い上がってた」 「…言えなかったほんとのことだって、分かってる?ちゃんと」 「ありがと。わかったけど、もう触れていいかな?」  また、栞の体が熱をもった。 「…触れて…ください」  何かで頭を強く打たれたような気分だ。俺の手や唇に反応する、栞の表情や漏らす息に俺は更に煽られた。   「今日が5日目だから。・・・栞、良い?」 「大丈夫」  初めて、“栞自身“に触れた。そっと指でなぞることを繰り返すと、栞が俺の腕に触れた。  指が吸い込まれるみたいに、栞の中に入り込む。その潤いに、二人ほぼ同時に体をすくませた。栞が洩らす息は、痛みのためじゃないはず。  俺はゆっくりと栞に触れ続けた。 「陽平は、なんで…?こんな…」  疑われてはいないのはわかる。でも、不安なんだな。きっと。 「栞は俺のこと知ってるだろ?」  ゆっくり目蓋をあげようとして、息を詰めて横を向いた。栞の仕草一つ一つに、俺は感動すらして手を止めることが出来ない。 「知らないことがあると、とことん調べたくなる。栞に痛い思いさせたくないから、調べたんだ」 「…調べられるの?」 「ちょっと恥ずかしかったけど、色々ツールはあったよ」 「陽平ってば…っ」 「痛くない?」 「…痛くない」 「じゃあ、どんな感じ?」 「それ…聞くの?」 「儀式だから」 「なんかさ、もしかして大半陽平のルールだったりしない?」 「そんなこともないよ」 「怪しい」 「いや。ほんとに載ってるから、今度見てみようよ。一緒に」 「いらない。陽平が教えて」
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