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手で触れて、少しずつ体を開いていく。全く痛みがなくなることはないんだろうけれど、少しでも軽減してあげたかった。
「私は…何もしなくていいの?」
「いいよ。ただリラックスして。気持ちよくなって」
「…気持ち、いいよ」
自然に洩らした言葉に、鷲掴みにされた気分だ。
もう、いいだろう。
「栞、力抜いてて」
俺だって、不安はある。傷つけたらどうしようとか、うまくいかなかったらどうしようって。
でも、それよりも繋がりたかった。早く一つになりたかった。
少しずつ体を沈めていく。唇を噛み締める栞が、何を耐えているかわからない。
「痛い?」
「…少し」
眉根を寄せているから、少しじゃないのかもしれない。
眉根に唇で触れた。
「何?」
「しわ」
栞が、ぷはっと笑った。栞の体の緊張が解けて、また少し深く繋がった。
「あと半分かな」
「半分!?」
「それは、どういう意味?」
少し俺の声が苛立ちを含んだものになって、我ながらおかしい。
「だって、こんな体中・・・一杯なのに、まだ半分って」
「栞、ちょっ待って。」
「え?」
「その台詞、刺激強すぎ」
「…んっ」
「何?どうした?」
尋ねる俺の声もかすれた。
「今、大きくなった…気がする」
「栞⎯⎯」
そのままキスを繰り返しながら、体に触れ続けた。繋がりを少しずつ深めて、ようやく完全に繋がった。
「…大丈夫か?」
「うん。…少し慣れてきた。陽平が優しかったから、平気」
「栞のそれ、天然?」
「それって?」
「俺のこと喜ばせるようなこと言うの」
「だって、陽平が言ったんだよ?素直にって。嫌ならもう言わない」
「ごめん。嫌なわけない。嬉しすぎて」
「私も嬉しい。陽平のものになれて」
⎯⎯情けない。もう、ダメだ。不意に体が震えた。
「栞、ごめん。一旦、離れるよ?」
「…?」
「子供はまだ早いから。ちゃんとしないと」
「・・・うん」
俺がごそごそしている間、何度か栞は目元に触れていた。泣いたんだろうか?
「栞、大丈夫?痛かった?」
「儀式はまだあるんでしょ?」
「30分さっきみたいにするんだ。その後ゆっくり…」
「ゆっくり?」
「愛し合うんだって」
「今以上に何するの?」
「してみないと、わからない」
「嘘。知ってるでしょ?」
「想像と現実は違うから。知ってるとは言えない」
俺の言葉を聞いた栞が、真剣な表情になった。
「こんなに栞が欲しいって思うなんて、自分でも思わなかった。満足と渇望が同時にやって来るって言ったらわかる?」
「よく、わかる。・・・わかるよ、陽平」
そう言って、栞は俺を抱き締めた。
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