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俺たちは、またゆっくり繋がった。さっきよりも少しだけ、栞の緊張は緩んだみたいだ。そのせいだろうか?
俺がもう、ダメだ。
「栞、30分って言ったけど、ごめん」
「どうしたの?」
「気持ち良すぎて、…もちそうにない」
「…なんか、嬉しい」
「⎯⎯栞っ」
もう、本当に恥ずかしいやら情けないやら。計3回交換した。すぐにまた復活するから我ながら呆れてしまう。心も体も栞を求めてるんだろうな。
「おかげで、少し…慣れたみたい」
額に薄く汗をかいた栞が、下から俺を見上げる。
「俺、ちっとも慣れない…その度に栞の体が変わるから」
「それは…どういうこと?」
「よくわからない。でも、満たされてて、その度合いが上がってく感じ?」
また、栞の体が変わった。
「ほら」
「……っ」
「ごめん。痛かった?」
「ううん。違う。・・・逆だよ?」
栞は潤んだ目で俺を見上げた。
「初めてなのに、そんなはずないって思ってたけど、どうしよ?もう…痛くない」
そう言って、大きく息を漏らした。
「もうすぐ30分経つんだ。動いても大丈夫?痛かったら、言って?」
「うん。たぶん、大丈夫」
ゆっくり唇を重ねた。口内を探る。どこかに栞の気持ちがまだ隠れてる気がして。でも、隠れてはいなくて栞が俺を受け入れる。
時計を見たら、もう時間は過ぎていた。
「動くよ?」
耳元で囁いたついでに、耳に唇で触れながら体を動かした。知らなかったはずなのに、体は知っていたみたいに滑らかに動く。
栞が小さく声を上げた。慌てて覗き込むと、首を左右に振った。
「…陽平、好き。大好き。…つかまえてて?離さないで」
今この瞬間だって、この先だってずっとそうする。
俺はちゃんと言えていただろうか?
栞には聞こえていただろうか?
さっきとは違う、うねるような感覚に二人とも呑みこまれ、夢中になって抱き合った。
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