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陽平は私の希望を理解してくれている。
でも、距離が出来たら、会えなくなったら、気持ちを維持するのは難しいのかな。
今だって、会えなくて苦しい時がある。
智也は、環境問題の解決のためにあらゆる分野からアプローチできる環境で学びたいと、北海道大学を志望校に決めたらしい。
香那が泣きながら教えてくれた。
「泣かないで。香那。智也は別れるつもりはないんでしょう?」
「そう。智也は今まで通りって言ってる。でも、私は無理だと思う。簡単に行き来できないでしょう?半年に一回くらいしか会えないんだよ?もし、どちらかの気持ちが挫けたら簡単に終わってしまう」
「そんなこと、分からないじゃない」
「そうなの。わからない。絶対変わらないなんて、言い切れないの」
「香那・・・」
「智也を疑ってるんじゃない。私よ。きっと弱くて周りに流される。でも、智也を裏切るなんて絶対嫌なの」
私は掛ける言葉が見つからなかった。私だって抱えている、同じ不安の答えは見つからないから。
「私もそうかもしれない。でも、やってみないと分からないよ?」
「ごめん。栞の顔見たら、つい弱音吐いちゃった。智也の夢は応援してるの。私が今言ったこと、絶対に言わないで。智也にも、陽平にも」
「わかった。約束する」
香那はそう言ったけど、きっと心の中で自分なりの答えを見つけたんだろうなと思った。私が気付いたことに、香那も気付いただろうけどお互い触れないことにした。その時が来たら、きちんと話すだろうと思った。
語学に長けた香那は、外語大への進学を希望していた。香那も、留学を考えている。そうなると、確かに遠距離の関係は難しいのかもしれない。
結局、自分の気持ちは自分でしか決められないって、私たちはよく分かっているから、時間をかけて答えを出すしかないんだ。
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