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「ずいぶん早かったのね」と言いながら、白い扉を開ける。そこで私を待っていたのは、小さな犬だった。チョコンとお座りして、私を見上げている。
「ワンコ……?」
茶色くて先っぽがちょっと垂れた耳。見たところ、どうやらジャックラッセルテリアだ。
なぜ、ここに……? しげしげと犬を眺めて、ドアの前で犬が待っている理由を考えていると……、
「トリック・オア・トリート!」
扉の影から飛び出したのは、たくさんの子供たち!
「ま、まあまあ、どうしたの?」
「今日はハロウィンだよ、先生! トリック・オア・トリート! お菓子ちょうだい」と見覚えのある子どもたちが七人、レインコートのフードの下から顔を覗かせている。どの子供も、かつては一年に数回は診察室で顔を合わせていた子達だ。
「ま、まあまあ!」
「ちょうどよくハロウィンの日に、風邪をひくっていう訳にいかないからね」というと、レインコートを脱いで、魔女やフランケンシュタイン、ドラキュラ、ゾンビの仮装を見せようとする。
ふりやまない雨が、子どもたちの上に降りかかった。
「濡れちゃうから、おはいりなさい!」と私がドアをいっぱいに開け放つと、子どもたちが診察室に一斉に入ってきた。
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