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「で、まだお迎えは来てないの?」
表くんの質問にハッとする。
そうだ、今は表くんとダラダラ話している場合ではないのだ。普通の高校生からしたら考えられないことだと思うが、私はほとんど車移動のため、車なしでは高校から家に帰れない。
このことは流石に恥ずかしくて誰にも言ったことはないが、これも、母が車の窓から、
「愛理ちゃんは一人で家まで帰れないんだよー!」
とか叫んだりしたら、学年中に知れ渡ってもはや恥ずかしくなくなるのだろうか。
「じゃ、俺は帰るわ」
私が一人で変な考えごとをしているうちに、表くんはそう言って歩いていってしまった。
沈みかけの夕日が、寂しそうに立ち尽くしている私を照らす。
心細い秋の始まりを告げるかのように、冷たい風が『ヒュー』と、ささやいた。
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