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「ごめん、お待たせ。笑実」
ヘッドホンをした笑実が気付くように、肩をポンポンと軽く叩く。
「二人で何の話?」
「あぁ、個人的な仕事のこと。笑実、もし何かあったらいつでも相談してこいよ。ほら、一人で抱えきれない物も誰かと持てば軽くなるし」
「⋯⋯私の抱えてるもの、相当重いけどね」
「笑実、知らないだろ~。俺、何気に鍛えてるんだからな。この上腕二頭筋がさ⋯⋯」
「ふふっ⋯⋯分かった。ありがと」
笑実は久々の笑顔を見せた。
その後、SNSはコメントができない設定に変更されたが、笑実の様子はあまり変わらないようだった。
――違う理由だったか?
他の理由も探ってはみたが、どれも見当違いのようだった。
笑実の心が音を立てて崩れてしまう前に何とかしてあげたいと強く思っていた。
やっぱり今度話してみるか――。
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