ショッキングピンクの傘

1/7
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
甥っ子のカズ君がリビングの窓から恨めしそうに、ジーッと外を見つめている。 私も外に目をやると、青紫色の紫陽花が満開に咲き誇り、しとしとと振る雨が石の灯籠を濡らして、中々風情のある庭になっていた。 しかし、元気盛りの三歳児には風情なんてどうでもいいらしい。雨の日は退屈でしかない。外に出たくてウズウズしている。 とうとう、 「カズ君、お外に出たいよー!」 とグズリ始めた。 パパである弟は日頃の疲れが溜まっているのか、ソファで爆睡。義妹のママは、カズ君の二つ下の弟、ユウ君のお世話でてんてこ舞いだ。両親は買い出し中。 動けるのは私だけしかいない。 私は一つため息を吐いて、 「カズ君、ひかりお姉ちゃんと一緒にお散歩に行こうか」 と声をかけた。 カズ君はニンマリして、 「いいよ~!」 と答えた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!