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プロローグ
それは、
蒸し暑くて痛いくらいに陽射しが照りつける、
ある夏の日だった。
「蒼、お前は心から笑えているのか?」
「誰の人生を生きているんだ?」
「どれだけ笑顔を取り繕ったって、
心が笑ってなきゃ、なにも生まれないからな。」
彼は笑顔でそう言って、僕の肩をトンっと叩き教室を出て行った。
「・・・・・フーッ」
大きなため息が出た。
全くこの人は。
突然、柄にもないことを言う時がある。
だから余計に染みてしまう。
心に。
おかしいな。
僕に心なんてあったのかな?
こんな感情なんてないはずなのに。
この時、なにかが崩れ落ちた。
でもそれはなんなのか、
この時の僕には分からなかった。
冷房もない教室で暑いはずなのに、窓から入る風がひんやりと感じた。
そして、
僕の本当の人生が始まったんだ。
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