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ー数ヶ月前ー
「いやぁ~久しぶりに帰ってきたなぁ~」
「旅は疲れるわよねぇ~」
「故郷は良いな」
「そうだな、何時だって俺達を歓迎してくれる」
「・・・・・!?」
旅に出てから、一度も顔が見れなかったのに、今更どうして?
私は物陰から、バレないように見ていた
「ていうか、どうして今更旅立ちの村になんか戻って来たんだよ!
ここに用はねぇはずだぜ」
そうだ、勇者達がここに戻ってくるのは、何時だってクリア後なんだ。魔王を倒すまで、ここに戻ってくることなんて……
「あぁ~付き合わせてすまないな。会いたい人が居るんだ」
「会いたい人~!?」
「おいおい彼女かよぉ~
わざわざお前のこれに会うために魔王を放って、ここに来たってのか?
こりゃあ~魔王ちゃんも嫉妬してるぜぇ」
戦士が小指を立てながら、小馬鹿にする。勇者さんは、慣れたように笑顔で言った。
「悪かったよ!
お前達も今までの旅で疲れただろう?
ゆっくりしてけよ。
ここには、レストランもホテルも他の街ほどじゃないが、何でも揃ってるからさ!
何より安いしなぁ~」
「しゃあねぇーな!
俺も武器とか色々見たかったし良いぜ!」
「私も私も!」
「そうねぇ~私達もレストランで女子会でもしましょうかぁ~!」
「やったー!僧侶有難う大好きぃ~!」
「ハイハイ……」
熱気が鬱陶しい戦士。喜びの余り、僧侶に抱き付く魔法使い。慣れた手付きで、それを猫を撫でる時みたいに、なだめる僧侶。
そんな仲間達を見て、また笑うしかない勇者。
とても「幸せ」そうだった。
私とは違って……。
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