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美晴がそう説明しながら隣に立つ井草を見上げると、すでに彼の目は並べられた弁当に釘付けだった。
「女子向けって訳ではないだろうけど、ここ、おにぎりも売っていてそれがまた美味しいんですよ。量もコンビニおにぎりの確実に二倍はあって、しかも鮭とか焼いてほぐしたのがそのまま入っている感じで豪華で」
「これ、……スゴイですね」
「でしょ? いつもコンビニでおにぎり買っているの見かけて、体大きいのにそれで足りるのかなぁって思ってたんです」
「え」
驚いたように振り向かれ、美晴はついビクッとしてしまった。
「俺のことですか?」
「あ、ごめんなさい。別に観察していた訳では無いんですけど、いつも二人で楽しそうにおにぎりの具について話していたから」
「いえ、その……」
慌てて言い訳をすると、なぜか井草も動揺したように視線を揺らした。
「取り敢えず、良かったらここで買ってみます?」
「買います。ちょっと待ってもらっていいですか」
「それなら私、お店の外で待っているんで」
そうして美晴が待っていると、程なくして弁当を買った井草が店から出てきた。
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