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騒がしいその会話につられて、つい店内の商品を眺める振りをしてそちらを見る。そこにいるのは二人の男性客だった。
背の大きいのと小さいののサラリーマンコンビ。大きい方が体付きもがっしりとしていてより大きく見えるせいか、多分標準体型であろうもう一人が、より小さく見える。
「なんだよ。クーポンの割引明日からじゃん」
「アプリの割引は?」
「お。あった」
仲いいなぁ。
そんなことをぼんやり思いながら、美晴はまたコーヒーをすすった。
普段はお弁当を作ってくる彼女がこのコンビニを利用するのは、決まって水曜日。この週の中日だけお弁当作りをお休みして、ランチを外のお店で食べるのだ。そして会社へ戻るついでに、コーヒーを買ってここで飲む。都内で一人暮らしをする二十八歳のOLにとって、それはささやかな贅沢だ。
ランチに行くお店のチョイスはその時の気分で、だから食後のコーヒーが欲しくなるのもその時の気分次第。会社とお店の距離だとか、ご飯を出されるタイミング、あとお店でコーヒーがつく場合など、状況はいくらでも変わる。とはいえ、ここ一月程は必ずここに寄っていた。その理由はこの二人。
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