2.はじまり

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「あら、そうなの。ずっと家にいるの」  帰って晩ごはんを食べた後、ひろみに報告すると、露骨に嫌な顔をされた。  せっかくのリフレッシュ休暇なのにそんなことを言われると、たけしも気分が良くない。  それに、何だか邪魔者扱いされたような気がしたのも気に触り、つい口調も強くなる。 「いいだろう。毎日、仕事頑張ってるんだから。俺が養ってやってるんだからな。ひろみは毎日が休みみたいなもんだから、わからないだろうけど……」  それは本当に悪気などなくて、つい口から出た言葉だった。  それにやっぱり自分が家族を養っているという思いはあったし、そんなたけしに対する扱いがひどすぎるんじゃないかと言う思いも無かったわけでもない。  すると、ひろみの洗い物をする手が止まった。そこで初めてたけしはドキッとする。  ちらり。  たけしは恐る恐る横目でひろみの様子を見た。  ひろみはそんなに怒るタイプではないけれど、機嫌を損ねると面倒だ。  さすがにまずかっただろうか。
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