2.はじまり

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 そんな心配をよそに、意外にもひろみはたけしの言葉を静かに聞いていた。  良かった。地雷は踏まずに済んだらしい。  そう思った直後。  ひろみはつけていたエプロンのポケットから何やら折りたたまれた紙を取り出して、ノールックでたけしに渡した。  それが今、たけしが持つ紙だった。  地雷はめちゃくちゃ踏んでいた。  よく考えてみると、その紙がすぐにポケットから出てきたことも恐ろしい。  前々から準備して、いつかたけしに渡そうと思っていたと、そういうことなのだろう。  つまりたけしは、遅かれ早かれひろみにその紙を渡されて、今のような窮地に立たされることになっていたわけである。
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