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とはいえ、こんなものを安々と受け入れるわけにもいかない。
月に63万。
そんな大金、支払えるわけがないのだから。
「そ、それはさ、プロの仕事だからもらえるわけだろ。ほら、スーパー家政婦みたいなやつ、テレビでやってた、一時間で10品とか作るやつ。ひろみみたいな素人には金なんか払えないよ。俺でもできるし」
たけしはどこかに打開策を見つけようと必死だった。
「へえ、たけしでもできるんだ」
「そうだよ、俺にだってできるよ」
リビングで子どもたちと遊んでいたはずのひろみは、またキッチンまで戻ってきた。
腕を組んで、たけしを見ながら含み笑いをしている。
何だよ、不気味だなあ。
たけしはそう思うけれど、ここで負けてはいられない。63万払わないために、たけしも胸を張って立ち向かう。
「じゃさ、そのリフレッシュ休暇とやらの間に私もリフレッシュ休暇をもらって実家に帰らせていただくので、子どもたちよろしく」
へっ?
たけしは一瞬、ひるんだ。
実家に帰らせていただくって、ドラマとかでやばいときに妻が口にするやつじゃ……
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