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たけしは、ひろみの顔色を伺うけれど、ひろみは普段からあまり怒ったり泣いたりしないタイプだから考えていることがよくわからない。
ブツブツ文句をつぶやくのを聞くことはあるも、それをたけしにぶつけてくることもないから、夫婦喧嘩もないのだ。
ひろみの表情は何か楽しんでいるようにも見えて、「実家に帰らせていただく」とか言いながらも離婚の危機とかではないような気もする。
でも、よく考えてみるとこれはラッキーなのでは?
たけしは頭を働かせながら考えた。
子どもは三姉妹。
長女の桜は小学二年生で、次女の桃は幼稚園の年長。
三女の花はもうすぐ三歳になる。
長女と次女を小学校と幼稚園に送り出せば、家には花一人だ。花はたけしになついているので、何も問題ない。
たけしはそう思った。
それに、いつも「靴下を投げっぱなしにするな」とか「服を片付けろ」とか口うるさく言われているたけしには、ひろみがいないというのが『自由』にも思える。
そう、『自由』だ。ソファーにゴロゴロしていたって、ため息をつかれることもないのだ。
ひろみがいない、それはまさにリフレッシュ休暇じゃないか!
たけしはそこまで考えると嬉しくなってきて、思わず顔が綻んだ。
おっと、ここは落ち着いて。
また、キュッと口を結ぶ
「いいよ、ひろみも実家でリフレッシュしてくればいいよ」
「えっ」
今度はひろみが驚く。
たけしはムフッと吹き出しそうになるのをぐっとこらえた。
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