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「ママー、できたよー!」
トイレを済ませた花は、そのままリビングへ走って行った。
「こら、まだパンツ履いてないぞ!」
たけしは走る花を追いかけ、キティちゃんとズボンをはかせる。
ほら、僕にだってできるじゃないか。
たけしも花と同じ笑顔でニヤッと笑った。
夕方、ひろみの出発の時間になった。
「桜は大丈夫よね。桃も自分で幼稚園の準備できると思うから。あ、桃の幼稚園セットは隣の部屋ね」
ひろみはたけしに信用がないらしく、最後まで忙しない。
「大丈夫だって。気をつけてな」
たけしはそんなひろみに半分呆れながら玄関の外まで見送る。
「本当かなあ。今日の晩ごはんは作ってあるから、温めて食べてね。あと、大体のことは紙に書いて机の上に置いてあるから。まあ、わからなかったら電話してね」
「わかったってば」
出発の時まであれこれ言ってくるひろみの台詞をたけしは話半分に聞いていた。
子どもたちもドタドタと玄関の外まで出て来た。
「ママ、行ってらっしゃい。土曜日には帰ってくるんだよね?」
長女だが甘えん坊の桜は、少し不安そうにしている。
「ママ、用事頑張ってね」
次女の桃は、何ともなさそうだ。
「ママ、バイバーイ」
一番元気に手を振る花は、事情をよく飲み込めていなかった。
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