5.月曜日 前半

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「行ってきまーす」 「お、おう、気をつけてな」  桜を送り出した後、まだ桃はパンをかじっていた。桃の口にパンをちぎっては入れ、牛乳で流し込ませる。  スケジュール表の園バスの時間がみるみる迫ってくる。  たけしは幼稚園のプリントで服装を確認すると、ゆっくりな桃を体操服に着替えさせ、自分もパジャマから着替える。  それから桃を半ば引きずるようにして、園バスの待ち合い場所まで連れて行った。 「あ、パパ、虫がいるー」  ああ、今は道端の虫なんてどうでもいいだろう。桃はどうしてこうのんびりなんだろう。姉妹でも違うものだなと改めて思う。    待ち合い場所にはすでにバスが来ていて、あわてて先生に桃を引き渡す。  良かった、間に合った。  家に戻ると、たけしは再度『月曜日』の紙でスケジュールを確認する。  さっきまでこんなに書かなくてもいいのにと思っていたけれど、今はこの紙を無下にはできないと思っている。  枠外の赤い丸印、何だろう。 『資源ゴミ、二週間に一度なので忘れずに』   時計を見ると、収集時刻までもうわずかだ。  くそっ、せめて、まとめておいてくれよな。  ブツブツ言いながらビン・缶用のゴミ箱を開けると、ほとんどが自分で飲んだビールの空き缶だった。
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