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「あはははっ」
鬼ごっこと間違えて逃げ回る花を捕まえて、服を脱がせる。代わりのトレーナーを着させようとすると、花がたけしから服を奪い取った。
「じぶんで!」
本当にできるのか?
と思いながらも、たけしはしばらく見守ってみる。
花は服をかぶってもぞもぞしていたが、さりげなく手を貸すとやっと頭が出た。
「すごいでしょ!」
にんまり笑った花の服は、見事に後ろ前だった。これならパパが着せた方が遥かに早かったじゃないか、とは言えない。
「花、すごいなあ」
誉めて、服を着直させる。
花はまた得意気なあの顔でニヤッと笑った。
やれやれと立ち上がって、ダイニングテーブルを片付ける。朝一番に片付けたはずの流し台には、再び四人分の食器が溢れていた。
「遊ぼう」とまとわりついてくる花に録画した子ども番組を見せている間に、半分やけくそで洗い物をする。
ホッと一息つき、花の隣に座ったとたん、
「ピーッ」
洗濯機がたけしを呼んだ。
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