42人が本棚に入れています
本棚に追加
くそっ、なぜこのタイミングで起きてくるんだ!
なんて、子どもに言っても仕方がない。
「ああ、花、おはよう。パパちょっと出てくるけど、すぐ戻るからな。桃が部屋にいるから、ちょっと待っててな」
「うん……」
花は眠い目をこすりながら、桃のいるリビングに入っていく。
それを確認したたけしは、玄関から飛び出した。
さっき家を出たばかりのはずの長女、桜の姿は、もうどこにも見えない。
他の子ども達を追いかけ追い越しながら通学路らしき道を進むと、ようやく見慣れたランドセルを見つけた。
「桜、連絡帳忘れてたぞ!」
「パパありがとう。でも、パジャマじゃん」
桜に言われて自分の格好を思い出した。慌てて周りを見ると、クスクス笑う通行人が目に入って、たけしは赤面する。おかげで帰りも全速力だ。
家に戻ると、やはりまだ桃はテレビを観ながらパンをかじっていた。
もうこれ以上は待てないか。
「桃、もう残していいぞ。着替えないと」
「はあい」
気のない返事をして桃が立ち上がる。
「桃、バンザイして」
テレビに釘付けのままバンザイをした桃からパジャマを剥ぎ取り、幼稚園の体操服を頭からかぶせる。
最初のコメントを投稿しよう!