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「いらっしゃいませえ」
花の遊ぶ声で目が覚める。
ええと、何をしていたんだっけ? たけしは少し寝ぼけていて、現状把握に時間がかかる。
しまった! 一緒に寝ていたのか!
ようやく我に返りあわてて時計を見ると、もう三時前だった。
慌ててスケジュール表を見て、桃の幼稚園バスが帰ってくる時間を確認する。
良かった、バスの時間にはまだ間に合う。
明日からのために、この時間にアラームをセットしておこう。
花を連れて園バスの待ち合い場所に行くと、数人のお母さん達の姿があった。
たけしは何を話していいやらわからず、とりあえず花をおんぶしたり高い高いしながら園バスを待つ。
「花ちゃんこんにちは。今日はお父さんなんだね」
中の一人に声をかけられる。
「うんっ。あのね、ママはいないけどね、花は泣かないの!」
たけしよりも花の方が保護者付き合いはう
まそうだ。
「花ちゃん、お父さんいいねえ」
笑顔のお母さん達を見て、花がいてくれて良かったと思っていると、クスクス、お母さんたちの笑い声が聞こえてきた。
ん? どうした?
「花ちゃん、オムツ、パンパンよ」
言われて花のお尻を見ると、ズボンがぷっくりと膨らんでいる。花はオムツの重みでずり落ちそうになるズボンを手で押え、股を広げて歩いていた。
そうか、しばらくオムツを替えていなかった。
「花、ごめんな、帰ってすぐオムツ替えるからな」
たけしはお母さんたちの視線が恥ずかしかった。
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