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2.はじまり
「はあ?!」
たけしは、妻のひろみに突きつけられた紙を見て固まっていた。
「だから、生活費払うって言ってるの。毎回毎回、『俺が養ってやってるんだから』みたいに言われるの、いいかげん腹立つんだよね」
ひろみはたけしに背を向けて、洗い物を続けている。
たけしが持つ紙には、ひろみが払うという生活費の内訳が書いてあった。
内訳
食費3万+お小遣い2万+家賃&光熱費8万=13万
【あなたにお支払いする生活費】
月13万円
「あ、家賃と光熱費は15万くらいなんだけど、たけしと半分ね。多めに8万払ってあげるから。食費も多めに見積もってる」
ひろみは目も合わせずしれっと言ってのける。
「払うって言ったって、どこに金があるんだよ。稼いでるの俺じゃん」
「ちゃんと見たの? 二枚目」
ん? 二枚目?
見ると確かにもう一枚下に重なっていて、たけしは慌てて紙をめくり二枚目に目をやる。
そして、更に固まった。
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