留守番をした☆たけし

２．はじまり

　突っ込み所が見つけられないたけしは、紙に書かれた内容を食い入るように見つめている。

「こ、この、割る２になってるのは……」

　もう、とりあえずどうでもいいところにも突っ込む。

「あ、それはね、本当は合わせて126万なんだけど、夫婦で雇ってると考えたら私にも半額出す義務があるわけ。だから半分。たけしは63万くれたらいいから」

　くれたらいいって……全然よくない！

「そんな、無茶言うなよ」

　たけしはもう紙を見ることも恐ろしくて、かと言って破ることなどできるはずもなく、ただ紙を持って突っ立ったまま、すがるようにひろみを見ていた。

「無茶なんて言ってないよ。たけしが養ってやってるって言うから、生活費払うって言ってるだけじゃない。あ、桜、妹たちみててくれてありがとう。桃と花もいい子にしてるね〜」

　ひろみはさっさとエプロンを置き、三姉妹の遊ぶリビングに歩いて行った。

　くそ、なぜなぜこんな話になってしまったのか。

　それは、たけしがリフレッシュ休暇をもらったことから始まった。
　そう、本来なら、仕事をたっぷり休めるという良いことだったはずなのだ。